お問い合わせ採用情報English
トーラス
トーラス
適格機関投資家等特例業務制度改正の政令・内閣府令案等が公表されました

平成27年5月27日に成立した適格機関投資家等特例業務を行う業者に関する金融商品取引法の一部を改正する法律に関連して、平成27年11月20日に、金融庁から改正に伴う政令・内閣府令案等が以下のように発表になりました。既報のように、今回の金融商品取引法改正は適格機関投資家等特例業務に関する規制強化が中心です。


http://www.fsa.go.jp/news/27/syouken/20151120-1.html http://www.fsa.go.jp/news/27/syouken/20151120-3.html


改正案の詳細な羅列は、金融庁ホームページに譲りますが、当事務所にて改正案の政令・内閣府令等の条文を網羅的に精査した結果、今回の具体的な改正内容のうち重要な点と、注目すべき実務上のポイントは、以下の通りと考えています。


届出事項・添付書類の拡充関連

内閣府令案で定める届出事項として、適格機関投資家等特例業務に係る出資対象事業の内容、出資の勧誘対象、出資する全ての適格機関投資家の名称、種別、数が追加されました。また、当局及び届出者が公表する事項として、特例業務届出者の代表者、業務の種別、所在地及び電話番号並びに適格機関投資家の数等が定められました。


また、適格機関投資家等特例業務に係る欠格事由が導入されたことにより、金融商品取引業者同様、いわゆる欠格要件に該当する者は適格機関投資家等特例業務を行うことができなくなりました。なお、欠格要件として注目されるのは、外国法人に対して外国監督当局の保証を求めていることです。これにより、現地ライセンスを保有していない外国法人等は、欠格要件に該当し、適格機関投資家等特例業務を行うのが困難となりそうです。


また、自己募集業務を行う際、適格機関投資家がLPSのみの場合には、(出資額-借入額)で5億円以上の要件を満たすLPSである必要があり、さらに、自己運用業務に関してはLPSのみを適格機関投資家とすることは認められないこととなりました。また、適格機関投資家等特例業務届出者と密接に関連する者等からの出資総額に占める割合が2分の1以上である場合も適格機関投資家等特例業務とは認められなくなりそうです。


行為規制の拡充関連

契約締結前の書面交付義務、適合性の原則等をはじめとして、今回拡充された行為規制案は、明らかに「金融商品取引業者並み」を志向したものです。政令・内閣府令案等では、私募に係る取引記録、顧客勘定元帳、運用明細書等の法定帳簿の保存義務の詳細が規定されています。


さらに、定期的な報告義務としては、財務局へ事業報告書を3か月以内に提出する義務を負うことになるほか、公衆縦覧を4か月以内に開始する義務が生じるとされています。今回、事業報告書の書式や公衆縦覧の様式案も併せて公表されていますが、記載事項の詳細はいずれも金融商品取引業者の場合に負けず劣らず、相応に詳しい内容になっています。


これらが施行されれば、事業者に求められる知識の面でも事務負担の面でも、金融商品取引業者に匹敵することが予想されるところであり、今後、適格機関投資家等特例業務を行うには、相応の社内体制が必要になりそうです。


監督権限関連

今まで、適格機関投資家等特例業務届出者に対する監督権限がはっきりしないことで、財務局は悪質業者に対しても警告又は裁判所による禁止・停止命令による他なく、監督実務に支障が生じていました。これを受け、今回の改正案では、業務改善・停止・廃止命令の権限を導入するほか、実態把握・投資者保護の観点から、報告徴求・立入検査を行うことができることをが明確化されています。


さらに、裁判所による禁止・停止命令の対象を、法律・命令違反となる場合のほか、業務執行が著しく適正を欠き、投資者の損害拡大を防止する緊急の必要がある場合にも拡大するとしています。 既に、関東財務局においても適格機関投資家等特例業務届出者の監督に専従する人員が配置されるなど、権限の拡大に合わせて監督の人員体制も強化されており、今後は従来とは比べ物にならない細かい監督体制が敷かれるものと思われます。


出資者の範囲の限定

既定路線通り、国、日銀、地方公共団体、金融商品取引業者等、上場会社、資本金又は純資産5千万円以上の法人、特別の法律により設立される法人、外国法人、TMK、証券等口座開設後1年以上経過し、投資性資産を1億円以上保有する個人、特例業務届出者の親会社等、子会社等、これらの役職員等(実際はかなり詳細ですが、実務上主要なものを抜粋しました)に出資者範囲が限定されることになりそうです。


これらの制約は自己募集の実施時点で判定されます。また、ベンチャー・ファンドに係る出資者の範囲については、上記のほか、上場会社の役員、会社の財務等に1年以上直接携わった役職員等が追加されます。なお、監督指針案によれば、投資性資産を1億円以上保有する個人の要件に関しては、自己申告書面及び取引残高報告書又は通帳の写し等で、1億円を超えているかを確認して「確認結果記録」を作成し、保存することが求められます。


特定商取引法からの除外

適格機関投資家等特例業務届出者による自己募集は、常識的に考えれば権利の販売であり、指定権利外のために特定商取引法の適用対象ではないと考えるのが理論上は自然でしたが、悪質業者の跋扈を踏まえ、各地の消費者センターは、適格機関投資家等特例業務役務の側面に着目して、特定商取引法の適用対象であるとの理解でクーリングオフの適用等の指導を事業者に対して行っていました。


しかしながら、今回併せて発表された特定商取引法施行令の改正案により、適格機関投資家等特例業務は特定商取引法の適用対象から除外されることが打ち出され、クーリングオフ等の特定商取引法の規制は及ばないようになりそうです。これは規制緩和ではなく、適格機関投資家等特例業務届出者を「真剣に監督する」という金融庁の意思表示と見るべきでしょう。


いずれにせよ、これにより適格機関投資家等特例業務においては、訪問販売や電話勧誘販売に該当する販売方法であっても、特定商取引法に基づく書面の交付義務は免除されることになりそうです。


ベンチャー・ファンド特例

ベンチャー・ファンド特例の適用を受ける場合には、出資者の要件は緩和されますが、一方で、監査、事業の運営及び財産の運用状況報告、ファンド資産運用者を選解任できるようにすることや、契約書内容等を届出・変更を行った日から原則として3月以内に届出する義務を負うなど、通常の特例業務と比べても、一段と細かい規制に服することとなります。


追加届出事項等

法改正等の施行後、既存業者については、施行日より6か月以内に、平成27年改正金商法、政令・内閣府令により追加された届出事項・添付書類を提出する必要がありますので注意が必要です。法改正等の施行予定日の情報や経過措置等で必要となる提出書類に関する事項は、金融庁から公表され次第、当サイト上で解説していきます。


対応の方向性

以上のように改正案を見てきましたが、施行日において適格機関投資家等特例業務を行っている事業者は、経過措置として、施行日前に勧誘を開始した出資者の資産に関する自己運用業務は、引き続きこれを運用継続することができます。つまりこの場合、新規の募集はできませんが、既存の運用資産の運用継続は行うことができるということです。いずれにせよ、これらの改正案の内容に関して、既存業者は一刻も早くその全体を把握し(各規制の経過措置の有無も含め把握し)、対応する必要があります。


いずれにせよ、個人向けにファンド業務を行っていた事業者に関しては、そのままの形では、事業を継続することはもはや不可能です。


主として個人投資家を相手方として適格機関投資家等特例業務を実施してきた事業者の事業の継続のためには、概ね以下の方向性があると考えられます。


【登録又は届出維持】
(1)適格機関投資家等特例業務でプロ向け業務に絞って展開
(2)第二種金融商品取引業登録又は買収(余力があれば投資運用業も)

【登録・届出を要しないビジネスに転換】
(1)社債の自己私募
(2)合同会社又は外国合同会社の社員権の自己募集
(3)動産又は不動産の売買契約形態に転換


各ビジネスモデルの詳細は、リンク先の解説をご確認ください。なお、一般論となりますが、金融商品取引業者や適格機関投資家等特例業務届出者への監督は年々強化されていることから、適格機関投資家等特例業務の継続や金融商品取引業登録は、相応の体制の確保が求められます。


一方、登録・届出を要しないビジネスを行う場合には、極めて自由な反面、登録業者以上に勧誘制限を遵守すること及び透明性を確保することが必要です。これは、建前論ではなく、適格機関投資家等特例業務と異なり、財務局の監督下を離れることから、外部から見ると実態の不透明性が飛躍的に増すことにより、問題が起きると関係機関から悪質性が高いと見られやすいためです。


対応の時間軸

改正法の施行は、平成28年上半期の早い段階になることが予想されます。内容に関しては、パブリックコメントを受けて多少の修正は予想されるものの、大枠としてはほぼ原案通りに施行される可能性が高いものと考えられます。適格機関投資家等特例業務を廃止する予定の場合には、早急に適格機関投資家等特例業務以外の代替的な事業継続策を作成、組成しておき、新事業への切り替えがスムーズにできるよう、準備しておく必要があります。


また、買収により金融商品取引業への参入を希望する場合ですが、金融商品取引業者、とりわけ第二種金融商品取引業者のM&Aによる買収価格相場は、大きく上昇する可能性が高いと思われる点に留意が必要です。そもそも、既にこの1、2年で金融商品取引業者全般の買収における「のれん代」の取引実勢は2倍近くまで高騰してきたように思います。


新規で登録しようにも、第二種金融商品取引業は新規で登録するには1年はかかります。そのため、買収するにしても新規で登録するにしても、第二種金融商品取引業への参入を希望する場合には、一刻も早く動く必要があると思います。


当事務所では、金融商品取引業の専門家として、お客様のそれぞれの状況を伺った上で、お客様にとって最適のソリューションを提案いたします。ご不明な点やご相談があれば、是非お気軽に相談ください。


  • 届出から募集開始の流れ
  • ヴィークルにどの組合を使うか?
  • 特定商取引法に関する注意事項
  • LPS出資に関する注意事項



  •   







    TOP/事業所概要/プライバシーポリシー・免責事項/取引約款・反社会的勢力に対する対応

    Copyright (C)2011 トーラス・フィナンシャルコンサルティング All Rights Reserved.