平成26年8月1日から、適格機関投資家等特例業務における投資家への販売制限が大幅に強化されます。(※施行見送りになりました。詳細はこちらをご覧ください)
平成26年5月14日の金融庁発表によれば、適格機関投資家等特例業務は8月1日施行予定の政令・内閣府令による制度改正が予定されており、適格機関投資家、金融商品取引業者等(法人のみ)、プロ向けファンドの運用者、プロ向けファンドの運用者の役員、使用人及び親会社、上場会社、資本金が5千万円を超える株式会社、外国法人、投資性金融資産を1億円以上保有かつ証券口座開設後1年経過した個人等に当てはまらない投資家には、勧誘等(正確には、自己私募及び自己運用)ができなくなります。
既存のファンドに対しては、新規の一般投資家との契約(私募)は不可ながら、既存の預かり資産については運用継続可能との経過措置が講じられました。
しかし、いずれにせよ個人投資家を主たる相手方としてファンド事業を展開していた適格機関投資家等特例業務届出業者にとっては、
事実上の制度廃止といっても過言ではないインパクトです。
≪対応の方向性≫
ファンドビジネスの存続のためには、既存事業者には概ね以下の方向性があると考えられます。
(1)適格機関投資家等特例業務でプロ向け業務に絞って展開
(2)第二種金融商品取引業登録又は買収(余力があれば投資運用業も)
(3)社債の自己募集、合同会社の社員権の自己募集など金融商品取引業登録を要しないビジネスモデルに転換
(※登録業者以上に勧誘制限を遵守することと透明性を確保することが必要です。仕組み次第ではファンドに似た性質の商品の設計も可能です)
≪対応の時間軸≫
政令の改正での制度変更ですので、法改正による場合と比べて、新制度の適用開始までの時間はより短いものになります。平成26年8月1日施行となれば、時間的な猶予はほとんどありません。業務継続や業態転換には、一刻も早い準備が必要です。
≪予想される影響≫
現時点で適格機関投資家等特例業務届出業者は3000社弱ありますので、この多くが業態転換に舵を切った場合、
金融商品取引業の業界全体に大きな影響が及ぶことが予想されます。
おそらくは、金融商品取引業者、とりわけ
第二種金融商品取引業者のM&Aによる買収価格相場が大きく上昇する可能性が高いでしょう。そもそも、既にこの1、2年で金融商品取引業者全般の買収における「のれん代」の取引実勢は2倍近くまで高騰してきたように思います。
一方で、買収を避けて新規で登録しようにも、第二種金融商品取引業は新規で登録するには1年弱はかかります。そのため、買収するにしても新規で登録するにしても、第二種金融商品取引業への参入を希望する場合には、一刻も早く動く必要があると思います。
当事務所では、金融商品取引業の専門家として、お客様のそれぞれの状況を伺った上で、
お客様にとって最適のソリューションを提案いたします。ご不明な点やご相談があれば、是非お気軽に相談ください。
26.8.14追記・施行見送りになりました
上記の制度改正に関する政令・内閣府令案等は、施行見送りになりました。性急すぎる実施予定日とベンチャーキャピタル業界からの抗議が原因になったともいわれますが、今のところ金融庁から公式発表はなく、今後の方向性は不明です。
とはいえ、適格機関投資家等特例業務に関しては、その制度自体、金融庁に限らず、消費者庁等の関係機関が消費者保護上問題視していることから、遠からず新たな規制案等の対応策が出てくるものと考えられます。